「とくダネ」によれば、「新聞やテレビで6年間で120人が退職した」と報じられている一方、4月13日の保護者会では、「実際に辞めたのは6年間で63人」と説明。63人という情報が正しいとして、その退職者のうち他の学校や企業に採用が22人、本人の希望21人、家庭の事情12人、任期満了6人…といった感じだそうです。
また、この学校は、中高一貫の学校なので、中学3年と高校3年のあわせて6年間の課程です。ここに900人の生徒がいて、教員数は80人とのことでした。
「教員の数は充足しているのか」という問題に対しては、中学校設置基準と高等学校設置基準によれば、生徒40人に1人の教諭がいればよく、法的には23人で満たすので、若干の誤差が生じたとしても、正規が40人、非正規40人、あわせて80人の教員がいるのですから、違法ではありません。
中学・高校の設置基準では、正規の教員のことを「教諭」、非正規の教員のことを「助教諭」や「講師」と呼びますが、今回の問題はその非正規教員の講師が、非常勤のまま雇用され、5年たったら正規雇用を求める権利を有するはずなのに任期満了として解雇されるという状況が問題といったところでしょうか。学校側は「任期満了は6人」と説明していますが、非正規講師として採用されたはいいけれど、先輩講師を見て、正規雇用の道は険しいと思っているからこそ、他の学校に移ったり、一般企業に転職するのではないでしょうかね。「非正規じゃ嫌だからやめる」という主張だって、見方を変えれば「本人の希望」だろうし、結婚や介護でやめる「家庭の事情」だって、給料が低いとか不安定じゃ結婚も介護も大変になるじゃないですか。
また、大学でも非常勤講師が実質的に大学教育をまかなっている例がたくさんあるように、「非正規からの正規雇用」というニンジンをぶら下げて、ブラックな学校運営を講師にまかせていて、給料やキャリアには反映されない学校行事に動員されていて、「はい、任期満了で退職願います」なんて言われて頭に来る先生もいそうですよね。
橘学苑がこのような状況かどうかはわかりませんが、保護者説明会で一方的に小岩利夫校長が閉会を打ち出すところを見ると、なんとなく理事長の意向が見え隠れします。そう、私学の校長って、実は経営側、つまり理事長には逆らえない関係にあります。ワンマン経営でセクハラ・パワハラが横行した大学がいくつもやり玉に挙がってきましたよね。
そして橘学苑は、創設者の子孫と思われる、土光陽一郎理事長が同校のトップを務めています。この方が、どういう方針で学校経営をしているのかは存じませんが、私が見てきた「しくじり学園」の多くは、同族経営だったり、学校の宣伝のためにクラブ活動に注力したり、偏差値の低さをごまかすために特別進学クラスを設けたり、スポーツで目立つことを考えてプロの指導者を厚遇したりと、まるでコピペのような学校運営になりがちです。
しかし、教育現場にいる人たちは、やはり生徒の日々の学習を支えることを大切にします。光の当たるスポーツ推薦組や特別進学クラスではなく、成績はトホホだけどまじめな生徒が大多数な訳で、そんな生徒たちにしっかりと勉強できるように指導するのが学校の本分だと思うのです。おそらく、生徒に寄り添ってがんばっていた先生が、正規雇用の道を断念したことを残念に思った生徒や保護者が声を上げたのではないでしょうか。
だってそうでしょう?
現場で良い仕事をしている人が、学校や社会をより良くしようとして生徒を指導していた人が報われない社会ってどうですか。
「どんな先生でもいい」、「安かろう悪かろうでもいい」と思うなら、わざわざ金と手間をかけて私学に通わせますかね。
また、校長が「私立学校なので私が判断した」と述べていたりもしました。誰を雇い、どういう教育方針で行き、誰を解雇するかの自由は確かに学校側・経営側にあります。私学なんだから、不服なら学校をやめればいいということなのでしょう。
しかし、説明責任はあるでしょう。なぜならそこらへんの私塾ではないのです。学校教育法の一条校なのです。学校法人は税制上優遇されているし、私学助成金も給付されているのです。経済的に困窮している生徒は就学支援金を使って入学するのだから、実質的な学校の予算は税金でまかなわれていると言っても過言ではありません。
非正規雇用が悪いとはいいません。しかし、非正規雇用するなら、先生たちに5年後のキャリアをしっかり組み立てさせてあげなければ、結局、ブラック企業と同じ構造になってしまうじゃないですか。生活に不安を抱えたまま、高度な仕事をさせられるという姿を、生徒たちに見せていいのですか。
あと、東京福祉大学などで有名になったワンマン・同族経営にありがちなのは、家族を雇用したり、腰巾着みたいな人を厚遇したり、セクハラのターゲットに正規雇用のエサをぶらさげたりと、やりたい放題の経営方針もあります。
橘学苑に何が起こったのかは私はわかりませんが、学校側はしっかりと説明し、教育者といっても間違うことはあるのですから、改めるべきところは改めるべきだと思います。
中学校設置基準(平成十四年三月二十九日文部科学省令第十五号)
(一学級の生徒数)
第四条 一学級の生徒数は、法令に特別の定めがある場合を除き、四十人以下とする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない。
(教諭の数等)
第六条 中学校に置く主幹教諭、指導教諭及び教諭(以下この条において「教諭等」という。)の数は、一学級当たり一人以上とする。
2 教諭等は、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、校長、副校長若しくは教頭が兼ね、又は助教諭若しくは講師をもって代えることができる。
3 中学校に置く教員等は、教育上必要と認められる場合は、他の学校の教員等と兼ねることができる。
高等学校設置基準(平成十六年文部科学省令第二十号)
(教諭の数等)
第八条 高等学校に置く副校長及び教頭の数は当該高等学校に置く全日制の課程又は定時制の課程ごとに一人以上とし、主幹教諭、指導教諭及び教諭(以下この条において「教諭等」という。)の数は当該高等学校の収容定員を四十で除して得た数以上で、かつ、教育上支障がないものとする。
2 教諭等は、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、助教諭又は講師をもって代えることができる。
教員大量退職で神奈川県が調査へ 横浜の私立中高一貫校 産経2019.4.17 18:41
横浜市鶴見区の学校法人橘学苑が運営する中高一貫校で非正規雇用の教員が大量退職している問題で、神奈川県の黒岩祐治知事は17日の記者会見で、学苑に県職員を派遣して雇い止めなどがなかったかどうかを調べると明らかにした。
学苑の説明では昨年度までの6年間で常勤、非常勤講師63人が退職している。大量退職についての報道を受けて県が学苑に確認したところ、「ここ数年で一定の退職者が出ているが、新たな雇用も行っている」との回答があった。
生徒の保護者からは学校の収益に不明瞭な点があるとの情報も県に寄せられているといい、黒岩知事は「どういう実態があるか調査していきたい」と述べた。
学苑側は応援してきた野球部が県予選2Rでコールド負けだからとか公欠とりまくりでひどい成績だから勉強に目を向けさせたかったなんて公けには言えないでしょう。
長年甘やかされた野球部はかつての待遇を取り戻そうとマスコミにリークという暴挙にでました。
この問題のそもそもはこんな次第です。雇い止めとは野球部も人目を引きやすい良いところ(笑)に目を付けたと思いますが、発端はこのような内部のもめ事です。
保護者会のビデオも切り取ったりつなぎ合わせたり印象操作されています。
報道で流されてる動画は悪いとこだけ編集されてます。それを見ただけで判断し、憶測だけで偉そうに語るのは止めてください。
校長の「私が判断した」というのは雇止めのことで言っていたのではありません。
保護者は公立も私立も先生がどうでもいいと思って子供を入学させてるわけではないです。学校は偏差値が全てではないのに、低いとこを見下す言い方は、全国の学校や保護者、生徒に失礼じゃないですか?
あなたの言っていることは、野次馬の人たちと変わりなく、評論家として出てくるべきではないです。
法的に23人で平気とか言ってますが、23人で授業してたら、質の良い授業なんかできないし、教師は過労で死にますよ?それこそ問題ですが、わかって言ってるんですか?
詳しくわかってもいないでつらつら述べるのはやめてください。
学校のことをとやかく言う前に、あなたの考えを改めるべきかと。
私が番組で指摘したことを誤解されている部分も多いかと思います。
匿名で一方的に誤った事実をもとに意見を述べているとすれば本末転倒ではありませんか?
ご意見があるなら、お名前を出して、連絡先も明らかにしていただけませんか。
私の連絡先はこのブログからわかりますよね?
もし事実誤認があって、きちんと取材すべきというのなら番組のディレクターにも伝えます。
このブログに寄せられたあなたのご指摘は私のコメントを聞いていないか、誰かの伝聞を鵜呑みにした印象があります。今一度、番組をよく見て、あなたのご指摘が本当に的を射ているのか、ご確認ください。
関係者が間違っていて、無関係のあなたの考えだ正しいと思ってることがおかしい。
わかりました。匿名で、どういう御立場かを明らかにせず、私のコメントを曲解しているとご主張されている方なんですね。
そういう卑怯な方が、橘学苑関係者と名乗られて、具体的にここが誤っているというご指摘も無く、ただただ「松本の主張は誤っている」とご主張されているのということでしょうか。
もし学校の教職員の方だとすれば、極めて稚拙なご主張ではありませんか。
あなたのコメントは、名誉毀損の可能性がありますので、YOUテレビ(ケーブルテレビ)の方に発信者情報開示請求と発信者情報削除禁止の申し立てをしておきます。あしからず、ご了承くださいませ。