この質問をすると、いろんな立場のいろんな方々がいろんな意見を述べると思います。
その意見を集約すると、2つに分けられると思います。
「准看護師は「准」が付くのだから看護師ではない」
「いや、看護師という大枠の中の分類として看護師と准看護師が存在するのだから看護師だ」
別にどうってことはない議論に、わざわざブログで説明をする必要は無いのかもしれませんが、まぁ、せっかくこのページに来たのですから、お付き合いください。
まず、看護師と准看護師には、それぞれの国家試験を受験する前提条件となる学歴区分があります。
簡単にいうと、中学卒業者を対象にした看護の学校を卒業した人が准看護師。高校卒業者を対象にした看護の学校を卒業した人が看護師です。また、准看護師資格を持った人が入学できる、「進学コース」と呼ばれる課程もまた、卒業すれば看護師となります。
この計算でいくと、准看護師は最短で17歳、看護師は21歳で資格が取れることになります。
※読者からの指摘で、「高等学校専攻科(一貫五年コース)修了」であれば20歳で看護師になれることがわかりました。すみません!
看護学校の入学資格が違い、准看護師の免許状は都道府県知事が発行し、看護師は厚生労働大臣が発行することなどの事情、そして保健師や助産師資格を取得するためには看護師資格を持っていることが前提とすることなどから鑑みると、やはり看護師と准看護師の資格は明確に違いがあります。
だから、少なくとも資格の種別として考えるのなら、准看護師は看護師ではないのだと思います。
しかし、それは看護業界、医療機関の内部の事情であって、医療機関を訪れる患者の立場からすれば、看護師も准看護師も全く同じです。熱や血圧を計りに来てくれた目の前の人が、普通に考えれば看護師であろうことは理解できても、仕事ぶりを見て、正准どちらかなんてことは、気にもしません。もちろん、仕事ぶりを見れば、放射線技士や理学療法士とは区別がつきます。
私は看護師ではありませんから、現実の医療機関での看護師と准看護師の業務内容の違いはわかりませんが、准看護師経験のある人から話を聞く限りでは、看護師も准看護師も業務の内容は基本的に同じであるが、基本給や昇進の可能性などで差異があるようです。つまり、この待遇について一言で述べるとすればこうなります。
「准看護師は中学卒業でもなれるレベルの低い看護資格だから、給料も低いし昇進しにくい」
これはごく普通のことかもしれませんが、私はこの部分に違和感があります。
医療機関において、同じ看護という職種の人が、「他者よりもレベルが低いこと」を前提に、同じ仕事に就かせて良いのでしょうか。
「医師」と「研修医」のように、明らかに経験年数が違う場合はともかく、例えば同じ35歳の看護師と准看護師がいたとします。看護師は高卒後3年間の養成課程を経るので、最短で21歳だから勤務年数は最大で14年。准看護師学校は、働きながら通うことも可能で、15歳から勤務ができるので、無資格時代も含めるとキャリアは20年、有資格者としてなら18年とカウントできます。勤務年数でいえば明らかに准看護師の方が長いのに、一律に准看護師を「レベルが低い」と割り切ってもよいのでしょうか。
例えば建築士の世界のように、「一級」>「二級」>「木造」 と、建築設計(確認申請)の範囲が明確な資格であれば、ふだんの仕事が同じであっても一級と二級の基本給が違って当然のようなイメージがあります。しかし、看護師と准看護師のように、業務の範囲が明確に分けられているわけではないものが、違う雇用条件で共存しているというのは、何かおかしくないでしょうか。
准看護師の「准」は、辞書でひくと「準」という字と同義だそうです。
法律用語で、「準ずる」とか「準用する」という言葉は、「同じに扱う」という意味です。
つまり、看護師に準ずるのだから、准看護師は看護師と同等に扱わなければならないはずです。
ところが、同等に扱うのは日々の業務内容であって、給与には格差があるというのは、やはりおかしいですよね。
こんな理屈ばかり考えていると、英検1級と英検準1級は同じかどうかとか、準優勝は優勝と同じなのかとか、明らかに差のあるはずのものが同じとなってしまうので、だんだん屁理屈に聞こえてきますが、何か言葉の使い方次第で、准看護師の人は都合よく使われているような気がするのは私だけでしょうか。
ちなみに、こうした不均衡というか不公平を是正すべく、「准看護師制度を廃止せよ」という動きはよく聞きます。私も同じような意見を持っていますが、少し私にも意見を述べさせていただけるなら、こういう改正ができるのではないかと考えます。
(1)看護師養成の制度をきちんと見直すこと
(2)「看護師」と「准看護師」の業務内容を明確に分けること
(3)現行の准看護師の看護師へのアップグレードを一定の条件のもとに緩和・簡略化させること
(4)制度改正後は現行の「看護助手」というあやふやな職業の担い手を全て准看護師とすること
こうしたことを条件に、看護師と准看護師の業務をきちんと分け、看護助手のような人材を准看護師として認めることで、准看護師制度を存続させることが妥当なのではないかと思っています。
ところで、あくまで私の経験に基づく個人的な意見ですが、現行の准看護師制度は、これはこれで良い制度なのではないかという印象があります。准看護師制度の廃止を目指す日本看護協会などは、「医師会が安い人材を確保したいから反対している」と主張していますが、現実の医療機関では先ほど述べた「看護助手」というあやふやな立場の看護関係者が看護師に準ずる、それこそ「准々看護師」のような立場の人もいます。特に看護の知識が無くても、「看護」の名称のついた職員がいるというのは、何かおかしいような気がするのです。
また、准看護師は、特に経済的に恵まれない女性が働きながら、安価な学費で手に職を付けられる、貴重な資格なのではないかという印象があります。
どう改正すればちょうど良くなるのかはちょっとわかりませんが、うまい制度改正がなされることをお祈り申し上げます。
繰り返しになりますが、私は看護師でも准看護師でもなく、看護師に知り合いが多いだけの作家ですから、深刻な事情や現実を知らずに述べています。失礼に感ずるみなさんがいたら謝罪しますが、もしご意見などがありましたらお寄せいただけたらと存じます。
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同じ仕事であっても、資格が違うので給与体系が変わるというのは、今の時代には難しいことなのかもしれません。かといって今から「違う仕事」にするのも難しいので、「准看護師をどう看護師にするか」は本気で考えないと(と20年以上前から言われていますが)
後、chachaのちゃちゃ入れで申し訳ないですが、看護師の最低年齢は、高等学校専攻科(一貫五年コース)修了の20歳かと思われます。
ご指摘ありがとうございます!
確かにそういう課程がありましたね(^^;)。すみません!!
20歳で看護師はもうひとつ方法があるのですが、代表例で突っ込みさせて頂きました。
この問題は答えがないですが、考えなければならない問題のひとつかと思います。
幼い頃から、看護師になりたいという夢を持って、今に至ります。
古い考えでしょうが、看護師とは大きく分けて、正看護師と准看護師に分かれる。
のであり、私は、准看護師の資格を持って働いているのだから、看護師と言って何が悪いか反対に、詳しく教えて頂きたいと思います。
准看護師を中傷することは、止めて頂きたい。
正看護師になりたい思いが強くても、いろんな事情があって成れなかった方は沢山居ます。
正と准の壁は、大きいと感じていますが、何故、区別ではなく、差別されるようになるのか理解できません。
看護助手イコール准看護師という考え方も違うとはっきり言います。
ご質問の意図が全くわかりません。
私の記事をきちんと読まれましたか。
法的にランクの違う資格の医療従事者が同じ業務を行うということに不自然さを感じませんか。
私がどの部分で准看護師を中傷したのか、具体的に指摘してください。
事情があって准看護師にしかなれなかったということは、正看護師になれるはずの能力の人が准看護師になっているという前提で話をすると変ですよね。
あなた自身、正と准の壁が大きいと感じていると書いています。個別の事情と、医療サービスを受ける側の望む医療サービスの質は無関係です。
正と准の差が大きいことを自覚していながら、区別・差別されることに不満を持つのですか。矛盾していませんか?
この程度の記事をきちんと読み込むことができないあなたが、「はっきり言います」と言っても、何の説得力もありません。まして、匿名の自称准看護師に中傷をやめろなんて言われても、困りますね。
だいたい中傷なんてしていないし。
一言申し上げます。
あなたこそ、きちんと勉強してください。
たったひとりの知識の浅い看護師を見て、准看護師出身の看護師全体を知っているかのような発言は危険な思想です。
昔、運転の下手な女性数人を見て、「運転が下手なんだから、女は運転するな!」と嘆いている人がいましたが、あなたもそういう批判を受ける立場にならないとわかりませんか。
きちんとアンケート調査をした訳でもないのに、あなた個人の感覚だけで全体を批判するようなことは愚かであると恥じるべきです。
看護師の中にも准看護師と正看護師と分かれているのはなかなか複雑な問題ですね。私は看護師養成は大学一本化にしたほうが良いと思っています。オーストラリアでは看護師養成はずっと前にすべて大学教育に変更になりました。
私が留学した時には既に大学教育になっていたのですが、同僚でそれ以前に看護師になった人もいます。その人たちがいうには社会的地位はあがったから大学教育に統一されて良かったというのが評価のようです。
もちろん准看護師もいます。しかし彼女たちの看護師への道のりはきちんと編入の道が開かれ、かつ仕事をしながら大学に通うことができます。
また准看護師は2種類に分類され、普通の准看護師は内服を含めた薬の投与は許されていません。それができるのはさらに教育を受けた准看護師だけです。それでも注射は看護師のみのしか許されず役割は明確に分かれています。
違う資格で同じ仕事をしなくてはいけない准看護師も給与の差を含めて納得できないのは仕方がないのかなと思います。
ちなみに私は准看護師を経て看護師になりました。だから同じ看護師でも一番低い基本給からのスタートでした。進学コース卒だから仕方が無いと思っていましたが、やっぱり少し嫌で大卒を目指しました。
その想いからやはり看護教育は大学一本化にするのが良いと思っています。
修業年数が違えば、学校にかけた金額や時間、学んだ教科数も違い、卒業までの労力が違います。
もし、20年経験のある准看護師と1年しか経験のない正看護師が一緒にケアに入り事故が起こったら、1年しか経験のない正看護師の責任になります。
これは国家資格であり、法律上、准看護師は看護師の指示のもと診療の補助や世話を行うこととされているからです。
准看護師と正看護師では責任の違いや、免許取得までの労力が全く違います。
最後に決定的なのは、正看護師は看護診断が行えますが、准看護師は看護診断を学んでいないため行えません。
看護診断は看護師が独立した専門職となる上で重要なものとされてきました。正看護師は1年間看護診断を行うための実習を行っていますが准看護師のカリキュラムにはありません。
残念ですが、准看護師と正看護師に差がでるのは当然なんです。