2017年10月11日

群馬大学の江本正志教授が懲戒解雇

群馬大学は、所属する江本正志教授の懲戒解雇処分を発表した。
一般に、学内の処分が広くマスコミに掲載されることは少なく、逮捕されたわけでもないのに実名が報道されるというのは異例中の異例。刑事事件でもないのにここまで大きく報道されるということは、きわめて悪質で、確実な証拠があってのことだと思われる。

江本教授は、5年前に一度、ネットを中心に大きく取り上げられたことがある。それは、彼が匿名のツイッターアカウントを使って、群馬大学の同僚教員の出身校である放送大学を批判したことから始まった。

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矢吹樹が放送大学を批判し、放送大学学長に見つかる→群馬大学の江本正志教授と判明

江本教授は、放送大学は通信制で入試はないから大学の存在意義や学歴の信頼性が乏しい旨を述べたところ、その誤解を解こうとツイッターで反論した岡部学長(当時)に対し、学長とは知らずに誹謗中傷と受け止められるような投稿を行い、それが学長と知るや否や自らのアカウントを削除して何事もなかったかのようにした事件である。もちろんこれを「事件」と呼ぶには些細な出来事なのだが、実は彼がツイッターで使用していた名前「矢吹樹」は彼のペンネームで、その名で自費出版をしていた。
その本は『大学動物園』(文芸社)といい、なんと本の内容は群馬大学の同僚教員や学生を中傷しただけの、稚拙なもので、私は定価で買って読んだが、本当にひどい本だった。
つまり、国立大学の教授でありながら、匿名の世界で職場の同僚や学生の批判をし、自費出版した本の中でこき下ろしただけではなく、同僚の出身大学を露骨に批判し、それをとがめた人物が学長とわかるとアカウントを消して逃亡という、見事に卑怯な方法をとったのである。
私は放送大学の卒業生であり、放送大学は名実ともに優れた教員とカリキュラムのある通信制大学だと知っている。放送大学の学生としては、本を読まずに彼の批判をしたくないため、彼の『大学動物園』を読んで反論しようとした。しかし、私は本の稚拙さに辟易してしまった。文章の企画もさることながら、論理が破綻している文章が多く見られたからだ。「著者は博士の学位を持っているが、このような論理性に欠いた文章ばかり書く人物が、はたして業績として評価される論文を書いているのだろうか」と、研究者としてのスキルを疑問視していたのだが、私が抱いた懸念は、今回の報道で明らかになった。
やはり、研究者と呼べるだけの、相応の力を持っている人物ではなかったのだ。

2012年に論文不正問題とツイッターでの露骨な誹謗中傷記事投稿が露呈したのに、彼を処分したのは2017年。実に5年の歳月を要したことになる。この間、不正な論文を作成した教授への報酬、そして本件を調査するために要したコストや、スキルの乏しい教員の指導を受けた学生の機会損失等、多大な損害を与えたことになるのだ。

最後に申し述べるが、大学教員はアカデミックな環境で活発な議論を行うことができるというのが社会の求める姿である。匿名でインターネットに他人の誹謗中傷記事を書き散らかすとか、匿名の著書で同僚の教員や学生をこき下ろすとか、このような事実が判明した時点で既に教員としての資質が問われるべきで、5年前の時点で処分を行うべきであった。
posted by まつもとはじめ at 23:49| 神奈川 🌁| Comment(0) | 教育機関の不正・犯罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする