2013年03月18日

大阪産業大学やらせ入試事件



この事件について、私に意見を求めるテレビ局があったので、簡単に私の意見を書いておきます。

まず、この事件について、私は報道ベースでしか情報を持ち合わせておりません。実際に取材した訳ではなく、あくまでも報道されたことが真実であるという前提でお話しします。
よって、前提となる事実が異なっていた場合は、私の意見も変容していきますので、ご理解ください。


私学助成金は大学の総予算の半分を助成する
大学は、「私学助成金」と呼ばれる、国からの助成金で、その予算の半額までを助成されることになっています。つまり、年間の総予算が30億円の大学なら、その半分の15億円が助成されます。
残りの15億円は、言うまでもなく、入学金や授業料収入、受験料収入、学校施設の使用貸借収入(資格試験会場とか)で賄われています。
これは逆にとらえると、年間15億円の収入があるのなら、同額の15億円を国が給付するというものです。
すると、大学は学生を増やし、学費を値上げするなどして、年間20億円の収入を上げることができるなら、同額の20億円が給付されるのですから、経営陣側からすれば、営業努力をすればするほど、税金が投入されるのですから、必死に学生を集めようとします。
しかし、これも度を過ぎると、血税の無駄遣いになるし、狭いキャンパスに大量の学生が押し込まれると学習環境が悪化するので、文科省は当該大学のキャンパスの広さや施設の充実度を総合的に判断して「定員」を設定します。

定員は学生募集の目安であって、上限ではない
大学の、いわゆる募集要項には、定員が書かれていることが多くあります。
例えば、「法学部は500人」、「文学部は400人」という感じです。

私立大学の場合、現実にはその定員を超える合格者を出しています。
特に中堅以下の私立大学では顕著です。例えば500人定員の学部で、1000人という合格者を出すこともありました。合格者全員が入学したら、いきなり2倍なのですから、本来はありえない話なのですが、中堅以下の私立大学では、どうしても入学辞退者の割合が多くなってしまいます。
東京六大学に入る私立A大学と、神奈川県の私立K大学。偏差知的にはほぼ同じでも、どちらでも通える環境であるなら、やはり東京六大学に入っている方を選びたくなるものです。入れる大学は1校だけなのに、本命の大学と滑り止めの大学を併願するのはごく当たり前の行動です。
すると、一般に偏差値が低ければ低いほどその大学は滑り止めに受験される大学になってしまうのですから、合格者の半分くらいが辞退するなんて大学は悲惨です。
そんな事情をふまえてか、文科省は「定員」に対し、一定の割合まで定員超過を認めるとしています。問題となった大阪産業大学の平成21年度の定員は、1.37倍だったそうです。この基準を超えて入学させた場合は、私学助成金を「減額する」とか「給付しない」などのペナルティが科せられます。

すると、大学側は、年々によって増減の激しい併願一般入試は少数精鋭の別枠にして、指定校推薦、一般推薦、附属高校からの内部進学、AO入試など、ありとあらゆる手段を用いて、前年の秋くらいまでに一定の入学者を確保します。
問題となった大阪産業大学の問題の平成21年度入試では、経営学部の定員は465人で、補助金受給には入学者数を637人以下に抑える必要がありましたが、平成20年12月までに、推薦入試などで600人近くの入学が決定していました。その一方で、一般入試の募集定員は78人としていたため、入学者総数が637人を上回る見通しとなっていたとのことです。
募集定員を78人とした場合、入学試験で一定以下の点数を取らない限り、得点上位者から順に78人を合格させるのが普通です。
推薦などで600人が合格し、一般入試できっちり78人を合格させたら計678人。637人以下に抑えるためには、自主的な入学辞退者が40人くらいいなきゃいけない。しかし、推薦入学の合格者が辞退するケースは少ないし、一般入試の合格者78人中40人が辞退することを期待するのはかなりリスキーです。

やらせ入試は「詐欺」ともいえる
こう考えると「附属高校の優秀な高校生たちに受験させ、一般入試78人の合格者のうち30人を占めさせる」というのは、大学の入試偏差値も上がるし、なるほど合理的です。ただしそれはバレなければの話であります。
これは合格者が78人あると思った受験生を冒涜することになるし、受験料を払って受験した学生たちについては、合格要件を満たしても合格できない賭けに参加させられたのですから、詐欺的といっても良いと思います。もちろん、その受験料収入と同額の助成金が国から支払われるのですから、いずれにしても問題ですね。

大阪産業大学経営学部の経営手腕はある意味すごい
学生を確保して経営を安定化させるために推薦入試を充実させたこと。
それにより、私学助成金を減額される限界の入学定員を超えそうになるくらい学生を集めることができたこと。
バレたとしても、組織的な不正行為とされないよう、様々な工夫がなされていること。(おそらく高校には「偏差値を上げるため」と説明し、教授会などからの批判を受けないように秘密裏に行動したであろうことは想像できます)
ただ残念なのは、ここまで巧妙に仕組むスキルがあるのなら、やはり推薦入試で事前に合格者数を厳選しておくべきだったことだと思います。
かつて定員オーバーしてしまった立命館大学がこのような反省を行っていることからも、今後の適正な入試がなされるよう、心からお祈り申し上げます。
特別転籍に関するお詫びとご報告(立命館大学)


大産大で「やらせ受験」 補助金受給目的、付属高生徒に依頼か 産経ニュース2013.3.17 19:29
 大阪産業大学(大阪府大東市)が平成21年度の入試をめぐり、付属高校(大阪市城東区)に対して成績上位の同校生徒に経営学部を受験させるよう依頼し、生徒に受験1回あたり5千円の謝礼を渡していた疑いがあることが17日、大阪府などへの取材で分かった。

 内部告発をもとに発覚。国からの補助金がカットされる定員超過を避けるため、入学意思のない生徒で合格枠を埋める狙いがあったとされ、報告を受けた府や文部科学省が調査に乗り出したほか、大産大も第三者調査委員会を設置する。

 国の「私立大学等経常費補助金」に関し、当時は入学者数が定員の1・37倍以上になった学部には支給しない規定があった。

 告発によると、大産大経営学部の21年度の定員は465人で、補助金受給には入学者数を637人以下に抑える必要があったが、20年12月までに、推薦入試などで600人近くの入学が決定。一般入試の募集定員は78人としており、入学者総数が637人を上回る見通しとなっていた。

 このため、大学側は当時の付属高教頭に対し、入学意思がなく成績優秀な生徒に経営学部を受験させるよう依頼。元教頭の指示を受けた担任教諭2人が3年生9人に受験を依頼し、一般入試を日程別に延べ数十回受験。合格した生徒に1回あたり5千円が渡された。

 依頼を受けた合格者で実際に入学した生徒はなく、大学側は入学者数を意図的に抑制して基準を満たした結果、21年度の補助金約10億円を受け取ったという。

 大産大の幹部は「関係者に事情を聴き、事実確認を進めたい」としている。
posted by まつもとはじめ at 23:42| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 高等教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/347723478
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。