2012年08月22日

「准看護師」は看護師なのか看護師ではないのか

「准看護師は看護師なのでしょうか?」

この質問をすると、いろんな立場のいろんな方々がいろんな意見を述べると思います。

その意見を集約すると、2つに分けられると思います。

「准看護師は「准」が付くのだから看護師ではない」
「いや、看護師という大枠の中の分類として看護師と准看護師が存在するのだから看護師だ」

別にどうってことはない議論に、わざわざブログで説明をする必要は無いのかもしれませんが、まぁ、せっかくこのページに来たのですから、お付き合いください。

まず、看護師と准看護師には、それぞれの国家試験を受験する前提条件となる学歴区分があります。
簡単にいうと、中学卒業者を対象にした看護の学校を卒業した人が准看護師。高校卒業者を対象にした看護の学校を卒業した人が看護師です。また、准看護師資格を持った人が入学できる、「進学コース」と呼ばれる課程もまた、卒業すれば看護師となります。
この計算でいくと、准看護師は最短で17歳、看護師は21歳で資格が取れることになります。

※読者からの指摘で、「高等学校専攻科(一貫五年コース)修了」であれば20歳で看護師になれることがわかりました。すみません!

看護学校の入学資格が違い、准看護師の免許状は都道府県知事が発行し、看護師は厚生労働大臣が発行することなどの事情、そして保健師や助産師資格を取得するためには看護師資格を持っていることが前提とすることなどから鑑みると、やはり看護師と准看護師の資格は明確に違いがあります。
だから、少なくとも資格の種別として考えるのなら、准看護師は看護師ではないのだと思います。

しかし、それは看護業界、医療機関の内部の事情であって、医療機関を訪れる患者の立場からすれば、看護師も准看護師も全く同じです。熱や血圧を計りに来てくれた目の前の人が、普通に考えれば看護師であろうことは理解できても、仕事ぶりを見て、正准どちらかなんてことは、気にもしません。もちろん、仕事ぶりを見れば、放射線技士や理学療法士とは区別がつきます。

私は看護師ではありませんから、現実の医療機関での看護師と准看護師の業務内容の違いはわかりませんが、准看護師経験のある人から話を聞く限りでは、看護師も准看護師も業務の内容は基本的に同じであるが、基本給や昇進の可能性などで差異があるようです。つまり、この待遇について一言で述べるとすればこうなります。

「准看護師は中学卒業でもなれるレベルの低い看護資格だから、給料も低いし昇進しにくい」

これはごく普通のことかもしれませんが、私はこの部分に違和感があります。
医療機関において、同じ看護という職種の人が、「他者よりもレベルが低いこと」を前提に、同じ仕事に就かせて良いのでしょうか。
「医師」と「研修医」のように、明らかに経験年数が違う場合はともかく、例えば同じ35歳の看護師と准看護師がいたとします。看護師は高卒後3年間の養成課程を経るので、最短で21歳だから勤務年数は最大で14年。准看護師学校は、働きながら通うことも可能で、15歳から勤務ができるので、無資格時代も含めるとキャリアは20年、有資格者としてなら18年とカウントできます。勤務年数でいえば明らかに准看護師の方が長いのに、一律に准看護師を「レベルが低い」と割り切ってもよいのでしょうか。

例えば建築士の世界のように、「一級」>「二級」>「木造」 と、建築設計(確認申請)の範囲が明確な資格であれば、ふだんの仕事が同じであっても一級と二級の基本給が違って当然のようなイメージがあります。しかし、看護師と准看護師のように、業務の範囲が明確に分けられているわけではないものが、違う雇用条件で共存しているというのは、何かおかしくないでしょうか。

准看護師の「准」は、辞書でひくと「準」という字と同義だそうです。
法律用語で、「準ずる」とか「準用する」という言葉は、「同じに扱う」という意味です。
つまり、看護師に準ずるのだから、准看護師は看護師と同等に扱わなければならないはずです。
ところが、同等に扱うのは日々の業務内容であって、給与には格差があるというのは、やはりおかしいですよね。

こんな理屈ばかり考えていると、英検1級と英検準1級は同じかどうかとか、準優勝は優勝と同じなのかとか、明らかに差のあるはずのものが同じとなってしまうので、だんだん屁理屈に聞こえてきますが、何か言葉の使い方次第で、准看護師の人は都合よく使われているような気がするのは私だけでしょうか。

ちなみに、こうした不均衡というか不公平を是正すべく、「准看護師制度を廃止せよ」という動きはよく聞きます。私も同じような意見を持っていますが、少し私にも意見を述べさせていただけるなら、こういう改正ができるのではないかと考えます。

(1)看護師養成の制度をきちんと見直すこと
(2)「看護師」と「准看護師」の業務内容を明確に分けること
(3)現行の准看護師の看護師へのアップグレードを一定の条件のもとに緩和・簡略化させること
(4)制度改正後は現行の「看護助手」というあやふやな職業の担い手を全て准看護師とすること

こうしたことを条件に、看護師と准看護師の業務をきちんと分け、看護助手のような人材を准看護師として認めることで、准看護師制度を存続させることが妥当なのではないかと思っています。

ところで、あくまで私の経験に基づく個人的な意見ですが、現行の准看護師制度は、これはこれで良い制度なのではないかという印象があります。准看護師制度の廃止を目指す日本看護協会などは、「医師会が安い人材を確保したいから反対している」と主張していますが、現実の医療機関では先ほど述べた「看護助手」というあやふやな立場の看護関係者が看護師に準ずる、それこそ「准々看護師」のような立場の人もいます。特に看護の知識が無くても、「看護」の名称のついた職員がいるというのは、何かおかしいような気がするのです。
また、准看護師は、特に経済的に恵まれない女性が働きながら、安価な学費で手に職を付けられる、貴重な資格なのではないかという印象があります。

どう改正すればちょうど良くなるのかはちょっとわかりませんが、うまい制度改正がなされることをお祈り申し上げます。

繰り返しになりますが、私は看護師でも准看護師でもなく、看護師に知り合いが多いだけの作家ですから、深刻な事情や現実を知らずに述べています。失礼に感ずるみなさんがいたら謝罪しますが、もしご意見などがありましたらお寄せいただけたらと存じます。
posted by まつもとはじめ at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(10) | TrackBack(0) | 看護師/准看護師/ナース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする